機能性かお洒落なのか?着物の袖の袂はなぜ長い?

こんにちは、菜々小町です。

着物を着て、食事をしたりすると「袖の袂が長くて邪魔になる!」と感じたことはないでしょうか?

あの袂があるから着物なんじゃない!? とも言えるかもしれませんが、そもそも、着物の袖の袂とは、なぜあるのでしょうか?

昔から、女性の着物の袂は長いものだったのかも疑問です。

今日は、着物のの袂とは、一体、なぜ、どんな理由で長いのかについて書いてみました。

機能性?ファッション性?着物の袖の袂は今のように長くはなかった!

着物といえば、袖の袂の長いデザインで作られていて、女性が成人式で着る振袖ともなると、袖丈が1メートル以上にもなります。

着物の袂とは、袖口から下の部分のことを指しますが、お洋服にはない名称ですね。

その袂ですが、なぜ、こんなに長いのだろうかと思ったことはないでしょうか?

着物を着て生活すると、さまざまな場面で袖の袂の長さが気になることがあるかと思います。

例えば、掃除や料理など家事をする時や食事をする時など、袖の袂が邪魔になってしまうことはありませんか?

掃除をする時、あの長い袂をフリフリと揺らしながらするのはやりづらいですし、料理の時も袂が邪魔になってしまいます。

食事の時には、手を伸ばした時に袂が汚れないように注意しないといけませんから、そう考えると、着物の袂とは長いほうが機能的とは言えませんね。

そんな機能的とは言えない着物の袂ですが、昔は現在の着物ほど袂は長くはなかったようです。

今の時代は、家事などは優れた電化製品のお陰で随分と楽になりましたが、掃除機も洗濯機も炊飯器も何もなかった時代には、日常生活をするのにそんなに長い袂は要らないものだったのではないでしょうか?

家事一切をこなさなければならなかった昔の女性は大変でした。

昔は、着物の袂は今よりも短く、着丈も短かったようです。

腰でおはしょりを作らず、女性でも男性のように気流しで着るような感じで、帯も現在のものよりも細く作られていました。

袂は短いほうがそれだけ動きの邪魔にならないし、おはしょりを作らない分、着るのが簡単だし、帯も細いほうが体が楽ですよね。

機能性を考えると、袖の袂は短いほうが何かと動きやすいと思いますが、長いのはデザイン的なことでファッション性が理由なのでしょうか?

一体、着物の袂とは、なぜ、どんな理由で長くなったのでしょう?

なぜ長い?着物の袖の袂とは

日本では、古来から布を垂らしたり、ヒラヒラとはためかす場面が多くありました。

例えば、お店の入り口に掛けられている暖簾(のれん)や神社にいくつも建つ旗とか、劇場の垂れ幕など。

なぜ、わざわざ長い布を垂らしたり、建て掛けたりしたのでしょうか?

昔は、布が風でそよそよと揺れることで、神様をそこに呼び込むと考えられていたようです。

「神様、どうぞこちらへお越しくださいませ~!」と呼び込みしていたんですね。

これは、神道の「魂振り(たまふり)」からきているもので、揺さぶることで魂が活性化して、良い氣を取り込む為の儀式のひとつとされています。

ですので、長い布や袖を振ることで、風を揺さぶり、神様の良い氣を呼んで、ご加護を受けたり、厄を祓うと考えられていたんです。

昔はそれほど長くはなかった女性の着物の袂ですが、現在のように袖の袂や着丈が長くなったのは江戸時代になってからのようです。

また、帯の幅も広く長くなり、この頃から着物も帯もどんどん進化していって、色や柄も華やかなものへとなっていきます。

江戸時代には、長い袂とは未婚女性であることのしるしでもありました。

長い袂をフリフリと振って、多くの獲物男性を呼び込んで、その中から「この人だ!」と思える男性を選んでいたのです。

結婚前の女性は袂の長い着物を着て、結婚後はもう呼び込みのための長い袂は必要ないので短く切って着ていました。

それが既婚女性が着る着物の「留袖」といわれるものになります。

長い袖を短く留めるということですね。

また、昔の女性は着物の袂を振って、相手に好意を示していました。

男性からの「好き」というサインを袖の袂を振ることでお返事していたのです。

これが、「振った」「振られた」という言葉の由来ともいわれています。

そして、布地を多く使っているほど裕福な家庭であるということから、女性の着物の袂はどんどん長くなっていきました。

袂が長くなれば、それだけ袖が重くなっちゃうのに、そんなとこで裕福だってことを主張するのかーー!と言いたいところですが。

そうなるともう、機能性なんて無視です。

ファッション性が重視されるようになり、日常生活に密着した着物の形は薄れていき、現在の着物の形になりました。

着物の袂が、なぜ長いのかは、おおよそこのような理由だと考えられています。

ですが、女性が着物の袂で顔を隠して恥じらいをあらわす仕草や、暑い日にパタパタと袖の袂を振って風を仰ぐなど、そんな光景が見られるのも袂の長い着物ならではですね。

袂にハンカチや小物を入れてポケットの代わりにすることもできます。

ただ、今の時代は、女性もかなりアクティブになっているので、日常を着物で生活しようとしたら長い袂では何かと動きづらいことがあるのです。

例えば、テーブルの上のお茶を着物の袂で倒してしまったり、何処かに袂が引っかかってしまったりなんてことはよくあること。

そのため、女性は着物姿で家事をする時などは、たすき掛けをします。

はちまきの様な布や紐を背中でバッテンになるようにたすきに掛けて、袖の袂が邪魔にならないように留めると家事などがしやすくなりますよ。

たすき掛けよりも簡単に着物の袂を留めることができるクリップもありますので、そちらを使っても良いかと思います ⇒ 着物 クリップ   長さ調節可能

こちらのクリップは長さが調節できて、袂を留める以外にも帽子などを留めるクリップとしても使うことができるため便利ですね。

まとめ

着物の袂が、なぜ長いかの理由のひとつに神道儀式の「魂振り(たまふり)」があります。

長い布が風で揺れることで、良い氣を呼び込んで神様を招き入れると考えられていたのです。

ですので、沢山の男性を呼び込むために未婚の女性は袂の長い着物を着て、袖を振って招いていたのです。

また、昔の女性たちは、着物の袂で男性に自分の気持ちを伝えていました。

相手からのアプローチに袖の袂を振って、好意を示したり、ごめんなさいというお断りの意志を示していたといいます。

女性の着物の袂とは、昔は現在の着物ほど長くはありませんでしたが、江戸時代に入るとその当時の流行りによって、着物も帯もより華やかなものになっていきました。

そして、袖の袂もそれまでよりも長くなり、今の着物の形となったようです。

日本人が日常着として着ていた着物は、時代が変わり、ファッション性が高まるにつれ、その形も変化していきました。

着物の袖の袂とは、そのひとつの象徴でもあると思います。

ここまでお読みくださり、ありがとうございました。

菜々小町

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