古事記の暴れん坊がヒーローに!ヤマタノオロチ退治までのあらすじとは?
こんにちは、菜々小町です。
古事記には、ヤマタノオロチ退治の話が出てきます。
そこには、巨大な怪物ヤマタノオロチを退治する神様の活躍が記されていますが、一方でその神様は、アマテラスを困らせるほどの暴れ者でした。
数々の悪行によって、アマテラスを追いつめてしまったその神様とは、一体、どんな神様なのでしょうか?
また、古事記に書かれているヤマタノオロチ退治にいたるまでのあらすじとは?
古事記でヤマタノオロチを退治した神様は?
古事記は日本最古の歴史書ともいわれ、上巻・中巻・下巻から成っていますが、上巻には神々についての物語が収められています。
その数々の神様の物語の中に「ヤマタノオロチ(八岐大蛇)伝説」の話が含まれているのですが、そこで活躍するのはアマテラス(天照大御神)の弟神でスサノオ(須佐之男命)という非常に個性豊かな神様です。
アマテラスは、日本の皇室の祖霊神として祀られている神様で、伊勢神宮のご祭神としても有名な神様です。
ヤマタノオロチ伝説の中で、スサノオはヤマタノオロチを退治するヒーローとして書かれていますが、姉であるアマテラスを困らせるほどのトラブルメーカーでもありました。
乱暴者の問題児だったスサノオが、一転してヒーローとなるまでにはどんなあらすじがあるのでしょうか?
古事記の中でのスサノオとは、一体、どんな神様なのでしょう?
古事記の中で三貴子と呼ばれる神様の誕生
スサノオの誕生には、イザナキノミコト(伊邪那岐命)とイザナミノミコト(伊邪那美命)という二柱の神様の存在が関係しています。
古事記の中でイザナキとイザナミは、共に国生みと神生みをした夫婦神ですが、イザナミが火の神であるヒノカグツチ(火之迦具土神)を産み落とした時、火傷を負ってしまい、それが原因で命を落としてしまいました。
愛するイザナミ(伊邪那美命)の死を受け入れられず、黄泉の国(よみのくに)まで迎えに行ったイザナキ(伊邪那岐命)は、そこで変わり果てた姿のイザナミを見てしまいます。
「オーマイガッ!!」
その容貌に恐れをなしたイザナキは、スタコラサッサと逃げ出し、追っ手を払いながら何とか逃げ延びました。
黄泉の国から命からがら逃げてきたイザナキは、日向の国(宮崎県)の阿波岐原(あわきはら)で身の穢れを払うため、禊(みそぎ)をします。
イザナキが身に着けていた衣を脱ぎ捨てていくと、そこから次々と神が生まれ、更に川の中に入って身を清めると、そこでもまた沢山の神様が生まれました。
最後にイザナキが川の水で顔を洗おうと、左目を洗った時に「アマテラス(天照大御神)」が生まれ、右目を洗うと「ツクヨミ(月読命)」が、鼻を洗うと「スサノオ(須佐之男命)」が生まれました。
イザナキは、最後に生まれてきたこの神様たちを「最も尊い子たちが生まれた……」と大変に喜ばれ、アマテラスには高天原(たかまがはら)を、ツクヨミには夜の食国(おすくに)を、スサノオには海原をお与えになります。
この三柱の神様は「三貴子(さんきし)」と呼ばれ、それぞれに与えられた国を治めることとなりました。
古事記の中で黄泉の国から帰ってきたイザナキが、川に入って身の穢れを清めるために行った禊ですが、これは現在でも神社の手水舎(ちょうずや)で水で両手を洗い、口をすすぐという行為に禊の考え方がみられます。
古来から水には浄化作用があると信じられていて、水によって穢れを払い、心身を清めるという意味があるそうです。
水で身を清めてからお参りしましょう……ということのようですね。
また、イザナキが禊の最後に顔を洗った時に左目からアマテラス、右目からツクヨミ、鼻からスサノオが生まれたとなっていますが、この部分もスサノオという神様の特徴が何気に表現されているような気がします。
気学では、鼻にあたる部分を五黄土性とし、五黄土性とは九気性の中心にあり、強力な作用と性格を持っているといわれています。
鼻は顔の中心にあります。
中心にあるので、人物でいえば帝王や支配者をあらわし、天象でいうと台風や地震、津波や洪水などをあらわします。
「荒ぶる神」といわれ、後にヤマタノオロチを退治するスサノオの特徴と関連づけられているような感じですね。
因みに陰陽の考えでは、左が陰で女性、右が陽で男性になりますので、イザナキの左目から生まれたアマテラスは女の神様で、右目から生まれたツクヨミは男の神様ということになります。
ですが、アマテラスは太陽の神ともいわれています。
陰陽では、太陽は陽になりますし、陽は男性となりますから、そうなるとアマテラスは男神ともとれますね。
古事記や日本書紀以前から存在していて、日本最古の書物であるといわれる「秀真伝(ホツマツタエ)」では、アマテラスは男神と書かれています。
いずれにせよ、アマテラスといえども弟のスサノオには手を焼いたのでした。
スサノオがヤマタノオロチ退治にいたるまでのあらすじ
古事記で、アマテラスやツクヨミと共に三貴子と呼ばれたスサノオが、なぜ、荒ぶる神と呼ばれるようになったのでしょうか?
後にヤマタノオロチを退治することになるスサノオですが、そこにいたるまでのあらすじをざっと見ていくことにしましょう。
父であるイザナキから、海原を治めるようにと言われたスサノオですが、亡き母のイザナミに会いたいと泣き、海原を統治することを放棄したために山々は枯れ、海は干上がり、世の中は荒れ、悪神で溢れかえってしまいました。
そのことに激怒したイザナキは、スサノオを追放してしまいます。
スサノオは、父であるイザナキから勘当されてしまったのです。
その後、亡き母がいる国へ行く前に姉のアマテラスに会っておこうと高天原を訪れたスサノオですが、そこでの行いは酷く、田を荒らしたり、神殿を汚したりとやりたい放題。
その行いは次第にエスカレートしていき、とうとう、機織りの部屋に皮を剥いだ馬を投げ入れて、機織女(はたおりめ)を死なせてしまいます。
それまで、スサノオの悪行に目をつむってきたアマテラスでしたが、これにはもう我慢できず、天の岩戸に閉じ籠もってしまいました。
堪忍袋の緒が切れたのです!
太陽の神様が、岩戸に隠れてしまいました。
たちまち世界は光を失って、真っ暗闇となりました。
このことによって、高天原の神様たちは、スサノオを追放することに決めました。
スサノオは、長く伸びた髭と爪を切られ、高天原を追放されてしまいます。
それにしても、母のイザナミに会いたいと、亡き母を恋しがってオイオイと泣くスサノオからは、荒ぶる神のイメージがあまり湧きませんね(笑)。
ましてや、怪物と恐れられるヤマタノオロチを退治するなんて……!?
出来るんかい?
汚名返上!? ヤマタノオロチ退治によってヒーローに!
父であるイザナキから海原を追放され、姉のアマテラスが治める高天原からも追放されてしまったスサノオは、葦原中国(あしはらのなかつくに)の出雲に降り立ちます。
そこでスサノオは、泣いている一人の娘と老夫婦に出会います。
どうしたのかと理由を聞くと、老夫婦には8人の娘がいたが、毎年、ヤマタノオロチ(八岐大蛇)がやって来て、娘を一人ずつ食べていき、残る最後の娘のクシナダヒメ(櫛名田比売)も、もうすぐヤマタノオロチの餌食となってしまうということでした。
更にヤマタノオロチは、八つの頭と尾を持つ巨大な蛇で、目が赤く、腹は血でタダレている見るも恐ろしい化け物だという。
「ならば、自分がそのヤマタノオロチを退治いたしましょう!」
クシナダヒメとの結婚を条件に、スサノオはヤマタノオロチ退治を老夫婦に約束します。
ヤマタノオロチ退治のための準備として、まず、スサノオは老夫婦に酒を造るように伝えます。
そして、垣根を作り、そこに八つの入り口を作って、それぞれの入り口に酒を置いておきました。
そこへやって来たヤマタノオロチが、八つの入り口にある酒の入った瓶に頭を入れて、酒をすっかり飲み干し、酔って眠ってしまったところへ、スサノオが刀でヤマタノオロチを切り裂きました。
その時、切り裂いたヤマタノオロチの尾から何とも見事な剣が現れます。
それが、三種の神器のひとつ、「草薙の剣(くさなぎのつるぎ)」です。
スサノオは、この剣を高天原にいるアマテラスに献上し、その後お互いに和解します。
そして、めでたくスサノオはクシナダヒメと結婚し、出雲の地に宮殿を作りました。
これが、古事記に出てくるヤマタノオロチ伝説ですが、クシナダヒメの父はアシナヅチ(足名椎)といって、山の神様であるオオヤマツミノカミ(大山津見神)の子です。
オオヤマツミノカミは、酒造の神様とも言われていますので、その神様の子であるアシナヅチも酒造りが上手だったということが言えるかと思います。
父であるイザナキを怒らせ、姉のアマテラスを困らせたスサノオでしたが、ヤマタノオロチを退治したことで、暴れ者の荒神からヒーローへと変貌を遂げたのです。
まとめ
古事記の中で、ヤマタノオロチ(八岐大蛇)を退治する神様は、アマテラスの弟神であるスサノオです。
スサノオは、黄泉の国から帰ってきたイザナキが、川で禊をした時に生まれた神様で、アマテラス・ツクヨミと共に三貴子と呼ばれています。
荒ぶる神とも呼ばれるスサノオは、数々の乱暴をはたらき、アマテラスの治める高天原を追放されてしまいます。
高天原を追われたスサノオは、葦原中津(あしはらのなかつくに)の出雲の地に降り立ち、そこでヤマタノオロチを退治して、クシナダヒメと結婚しました。
父のイザナキから治めるようにいわれた海原を統治せず、亡き母を恋しがって泣いていたかと思ったら、姉のアマテラスがいる高天原に来たら、今度は悪さばかりをする暴れん坊に……。
ここまででしたら、スサノオはどうしようもないトラブルメーカーですが、出雲の地でヤマタノオロチを退治したことで、一躍ヒーローとなりました。
スサノオがヤマタノオロチ退治にいたるまでには、このようなあらすじがあったんですね。
スサノオの高天原での傍若無人ぶりに、心労の絶えなかったアマテラスもきっとホッとしたことでしょう。
以上、最後までお読みくださり、ありがとうございました。
菜々小町
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